目次
割安ゾーンと割高ゾーン
全開の記事ではトレンドチャネルの引き方と分析方法について解説しました。
トレンドが発生するという読みを持っているとします。
例えば、チャートのすぐ左でアキュミレーション(買い集め)が行われてた後、レンジの上値をブレークした後に上昇トレンドチャネルが引けたような場合です。
そうなると、そのトレンドチャネルに沿って買いを狙っていくことになります。
闇雲にエントリーするのではなく、トレンドチャネルに沿って有利な位置でエントリーします。
トレンドチャネルの真ん中あたりはニュートラルゾーン
上の1/3は割高ゾーン
下の1/3は割安ゾーン
トレンドチャネルよりも上は買われ過ぎゾーン
トレンドチャネルよりも下は売られ過ぎゾーン
このうち割安ゾーンと売られ過ぎゾーンで買えるのが、位置的にはベストです。
安く買えるのだから当然です。
しかし、その位置に価格が下がったからといって、いつでも買っていたのでは安定して勝つことはできません。
また、割高ゾーンやニュートラルゾーンでも積極的に買って行かなければ買えない状況もあります。
その辺りを上手くやろうと思うと、ローソク足と出来高を読んで需給を判断する必要があります。
この割安ゾーンや割高ゾーンはストキャスティックやボリンジャーバンド、ケルトナーチャネルを使って定義することもできます。
しかし私はトレンドチャネルを使う方法が一番好きです。
手動なので面倒くさいですが、テクニカルのようにパラメーターによって定義が変わってくることがないので、その時間軸でトレードしているすべての人に共通のゾーンを見つけることができると思うからです。
認知された価値
割安とか割高、買われ過ぎとか売られ過ぎという言葉を使っていますが、これを理解するには「認知された価値」という考え方を理解する必要があります。
株や先物など多くの人が取引する金融商品の価値は、それそのものの実際の価値によって決まるものではありません。
相場参加者の多くの人が感じている割高感、割安感によって決まります。
というよりも実は、大口トレーダーの持っている割高感、割安感によって決まると言った方が正確かもしれません。
トレンドチャネルの下トレンドラインにチャートが向かっている状況で、3人のトレーダーがいたとします。
1.高値付近で買ってしまって大きな含み損を抱えているトレーダー
2.買うのがちょっと早すぎて、たった今ロスカットになったトレーダー
3.高値付近で空売りして大きな含み益になっているトレーダー
相場にはいろんなトレーダーが参加しています。
それぞれのトレーダーが何を考えて売買しているのかは分かりません。
確かなのは、それぞれのトレーダーが、その金融商品に対して違った価値を見出しているということです。
1のトレーダーはこの下げでそれほど大きな損失を出したわけではありません。買いを狙っているので、さらに良い値段で買えるチャンスを待っています。
このトレーダーは、「この株は割安な状況になりつつある」と思っているはずです。
2のトレーダーはパニックに陥っています。高値で買ってしまったのだか当然です。価格が戻ってくれて同値撤退できることを願っています。さらに急激な下げがあれば投げ売りすることになります。
このトレーダーは「この株は上がるはずだ!!でも、これ以上下げたらもっと下がってしまうだろうから、投げるしかない」と思っているでしょう。
3のトレーダーはよい空売りポジションを持っていて、この株がさらに下げることを期待しています。もしトレンドチャネルの下トレンドラインで反転して上げ始めたら利食いするでしょう。
このラッキーなトレーダーは「この株はもっと下げるだろう。だから割安とは言えない。しかしラインで反転して上げ始めるようなら、買い戻そう。」と思っているでしょう。
こんな感じで、それぞれに違った考えを持ち、違った立場で相場に参加しています。
1は買おうと思っているポイントに近づきつつある
2は投げ売りせざる負えないポイントに近づきつつある
3は笑いが止まらない状況
相場には何百人、何千人のトレーダーが参加しています。
この3人のようなトレーダーたちの集合として割高、割安感が形成されます。
価格がトレンドチャネルの中に納まっている限りは、その真ん中をニュートラルとしてそれよりも上が割高であり、それよりも下が割安です。
しかしいったんトレンドチャネルから力強く抜けてくる場合、割高と割安の尺度が変わってしまいます。
例えば、上昇トレンドチャネルの下のラインを力強く下抜けして下値が受け入れられた瞬間、それまで割安だと思われていた価格が割高になるのです。
逆に、トレンドチャネルの上ラインを力強く上抜けしていくような状況では割高だと思われていた価格が割安になります。
このように割高、割安の基準は変化していきます。
状況が変わったのにもかかわらず、いつまでも古い感覚にとらわれていると、大損したり置いてきぼりになったりします。
トレンドチャネルの端に向かう値動きの出来高を読む
さて、トレーダー達に「認知された価値」が変わり、割高/割安の基準は変化するということは理解して頂けたと思います。
その上で、自分の引いたトレンドチャネルに沿って上昇トレンドがしばらく続くだろうと予測したなら、割安ゾーンか売られ過ぎゾーンで買いを狙うのが賢い戦略です。
問題は割安や売られ過ぎゾーンにあっても、買ってはいけない場合があります。
勝ってはいけない場合とはどんな場合でしょう。
割安や売られ過ぎでも買ってはいけない場合
ギャップダウンしてトレンドラインを飛び越えたあとすぐに戻らない場合
トレンドを変えるには大口の努力が必要です。
上昇トレンド中のトレンドラインには、下抜けしようとする値動きに対する抵抗があります。
この場合の抵抗とは、買いの圧力のことです。
その買の圧力をなるべく軽減するために大口はギャップダウンでトレンドラインを飛び越えさせます。
そうすることで本来出てくるはずだった買いが出てきにくくなるのです。
急激にギャップダウンすることで相場参加者の認識が変化し、昨日まで割安だった値段がもう割安ではなくなってしまうからです。
「もっと下がるんじゃないか?」となるわけです。
また、買っていたトレーダー達のロスカットも巻きこみますので売りの圧力が強くなります。
大口が安値で買うためのギャップダウンだった場合、次の足かその次ぐらいの足でトレンドチャネル内に戻ってきます。
戻ってこない場合は弱いということです。
こうなると、ちょっと前まで売られ過ぎの値段だったからといって買ってはいけない状況です。
トレンドラインに向かう動きに大きな出来高+結果が伴う場合
トレンドラインを抜けるための大口の努力は、トレンドライン上ではなく、トレンドラインに向かう動きの中に現れます。
水たまりを飛び越えようとするときには助走をつけるでしょう。水たまりが大きければそれだけ助走で勢いをつけておきたいですよね。それと同じことです。
上昇トレンド中にトレンドラインを割り込んでトレンド転換させようとする場合、相場における助走とは大きな値動きを伴う陰線とことです。
そのような陰線が出たあと、すぐにその値動きが覆されない場合、その助走に結果が出ているということです。いくら上昇トレンド中だからと言って、そのような力強い助走に逆らってはいけません。
いくら出来高を伴う陰線になっていても、次のローソク足で全否定されたり、長い下ヒゲになる場合は、助走がうまくいかなかったということです。
思い切り助走して水たまりを飛び越えようとした瞬間に滑って転ぶようなものです。
このページの冒頭の画像では割安ゾーンに近づく下げの動きに出来高が伴っていないのがわかります。
助走なしでトレンドが覆される可能性は低いので、積極的に買いを狙う状況だと分かります。
トレンドチャネルと出来高分析~まとめ
トレンドチャネルの端に向かう値動きの出来高と値幅を分析すると、買ってよいのかどうかが分かります。
上昇トレンド中に買ってはいけないのはどんな時?
- トレンドラインをギャップダウンで飛び越え、すぐに戻らない時
- 大きな出来高を伴う陰線で助走をつけてトレンドラインに向かう時
上昇トレンド中に積極的に買いを狙うのはどんな時?
- トレンドラインをギャップダウンで飛び越えたにもかからわず、すぐにトレンドチャネル内に押し戻された時
- トレンドラインに向かう陰線に出来高が伴わない時
- トレンドラインに向かう陰線に出来高を伴っていたが、その値動きが下ヒゲなでで急激に失速した時
上記買ってはいけない時にはエントリーを見送り、買うべき時には積極的にエントリーを狙っていくと、長期的に見て期待値の高いトレードができるはずです。
このように、トレンドチャネルと出来高分析を組み合わせると、優位性のあるエントリーチャンスを見つけることができ、危険な罠からなるべく逃れることができます。
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- 出来高は語る~出来高分析トレード手法【出来高を理解する】
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- 腰の据わった買いとバイイングクライマックス~出来高を使ったトレード手法
- 価格の上昇を止める要因と群集心理~出来高を分析するトレード手法
- テクニカル分析よりも需給~出来高を分析するトレード手法
- 強気相場を見極める~出来高を分析するトレード手法
- 陽線と陰線を見極める~出来高を分析するトレード手法
- 需要の減少を見分ける~出来高を分析するトレード手法
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- 相場における努力と結果 ~出来高を分析するトレード手法
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- トレンドチャネルで割高と割安を見極めてエントリーする方法