前にも解説しましたが、レンジ上部のレジスタンスライン(エリア)を大口が一気に突き抜けさせる時の動きについてさらに詳しく解説したいと思います。
ブレークアウトを狙うトレーダーが捉えたいのはこのような動きですし、逆張りトレーダーが捕まりたくないのもこの動きです。
レジスタンスラインなのですから、本来はゆっくり動くべきエリアです。そこを一気に突き抜けるのはなぜなのでしょうか。
ここでお話しすることを完璧に理解して頂ければ、相場で時々起きる突発的な動きの理由が分かるようになり、自信をもってエントリーできるようになるでしょう。
レジスタンスラインは料金所~いかにしてうまく通り抜けるか
レンジ上部はレジスタンスライン(エリア)として機能します。人間の群集心理は不変であり、その行動パターンを大口は知り尽くしています。
レンジの中ではたくさんのトレーダーが買っています。レンジ下部を試す動きの際、彼らのほとんどは含み損を抱え、罠にはめられたような気分になります。いくらかは振い落されるでしょう。
振い落されずに耐えた買いのトレーダー達の考えていることは、「なるべく含み損を減らして手仕舞いたい」や「同値撤退したい」です。
彼らの手仕舞いや同値撤退(やれやれ売り)は売り注文ですから、レンジ上部で抵抗となり、レジスタンスエリアを形成します。
そういったエリアは、供給が多い供給過多エリアといえます。
さて、もし大口のバイアスが強気であり、すでに買いポジションを作っているなら、相場を吊り上げなければなりません。
供給過多エリアは大口にとって料金所のようなものです。料金所ではいったん止まって通行料を払わなければなりません。
吊り上げを行うには、供給過多エリアで出てくる売りをすべて吸収して上げていくことになります。
あまり相場のことをご存じない方にはイメージしにくいかもしれませんが、吊り上げの仕方によって支払う通行料は大きく異なります。
ゆっくり通れば規定通りの通行料を払うことになります。一方、素早く通り抜ければ最低限の通行料で済みます。
大口は天才的な頭脳の集まりですから、どうやったら料金所(供給過多エリア)をなるべく安いコストで通り抜けることができるのか、考えに考え抜いているはずです。
大口はどうやるのでしょうか?
もちろん、まずは振るい落としをやってきます。
買い持ちしている一般投資家を下値でふるい落としておけば、供給過多エリアでの売りは減ります。このあたりのところは前にも詳しく解説しましたので戻って復習しておいてください。
もう一つの方法は、急激な値動きの陽線かギャップアップで一気に供給過多エリアを通り抜けてしまうことです。
上の画像は日経225ミニ先物の30分足です。
黄色い枠がレンジです。レンジの中にまた小さなレンジがあります。ここではたくさんの買いがトラップにかかっているはずです。
レンジが4日間続いていますが、最後の日の寄り直後の1時間で振るい落としがあったあと、後場から出来高を伴う長大陽線2本でレジスタンスラインを一気に突き抜けています。
含み損を抱えて同値撤退しようか迷っていたようなトレーダーも、一気に含み益になれば、欲が出て売るのをやめます。買い益しすらするでしょう。
この動きの特徴は、レンジの動きがしばらく続いた後、大きな出来高を伴って、長い陽線で一気にレジスタンスエリアを抜けることです。
もしくは、ギャップアップでレジスタンスエリアを飛び越えた後、大きな出来高を伴って上げていくことです。
このような値動きは、相場の強さを示す明確なサインです。次のような行動をとる必要があります。
- もしショートポジションを持っていたならすぐにロスカットする
- ノーポジションなら、なるべく早くロングエントリーする
- もともとロングポジションを持っていたなら、利食い注文をキャンセルして利益を伸ばす
このような値動きの意味は、
大口はその辺りで出てくる売り注文を全て吸収して株価を吊り上げる覚悟があるということです。
大口はある程度の値幅の上昇を想定しています。この値動きは多くのトレーダーたちを呼び込んでお祭りのようになります。また、ショートしていたトレーダーたちのロスカット注文(買い注文)も殺到するのでそう簡単には下げません。
また、株価の上昇を指をくわえて見ているだけの一般投資家も、乗り遅れる恐怖に耐えられなくなっていずれ高値で買ってきます。ですから思った以上にオーバーシュートするのです。
(オーバーシュート:行きすぎの動き)
利食いを考えるのは、大口がディストリビューション(売り抜け)をやっている兆候がはっきりと見えてからで良いです。ですから大きな利益を期待できます。
このような動きは日足レベルだけに起きることではありません。スキャルピングから5分足のデイトレレまで、すべての時間軸のトレードで起こります。その規模が違うだけです。
もちろん、注意点もあります。
レンジをブレークアウトする急激な陽線が出たとしても、そこに出来高を伴わなかった場合です。もしくは出来高を伴っていたとしても、陽線の直後に上昇を全否定するような陰線が出た場合です。
そのようなブレークアウトの動きはダマシであることが多く、反対側にブレークアウトして弱気相場につながる可能性が高まります。
出来高の多い振るい落としについて
先程の振るい落としの部分を補足説明しておきましょう。
きっと疑問に思っている人がいらっしゃるでしょうから。
緑の矢印で指示した陰線では大きな出来高ができています。
「出来高を伴う陰線だから弱気なのではないか?」
と思ったかもしれません。
しかし、よく見てください。極端に大きな出来高ができている割には、陰線の値幅が狭くありませんか?
ローソク足だけ見ると、周りと全く変わらない値幅ですよね。
さらに、大きな出来高の陰線だったにもかかわらず、次の陽線で全否定されています。
もし大口が弱気で下にブレークアウトさせるつもりだったなら、一気に下値をブレークアウトさせていたはずです。
このように、大きな出来高を伴う陰線でも、その出来高に見合った値幅が出ていない場合は強気のサインになり得ることも覚えておいてください。
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