相場がグイグイと上げていくのかどうかを見極める方法をいくつか解説しましょう。
良い値段で買えるか
上げ相場だったとします。あなたは買いたいと思っています。
いい感じのプルバックが出て、買いやすい値段で買えたとすると、それは何を意味するのでしょうか。
相場を動かしている大口は、あなたや多くの一般トレーダーに気分よく買うチャンスを与えてくれたのでしょうか。「一緒に儲けようね!」と言ってくれているのでしょうか。
そんなわけありませんよね。
彼らの考える適正株価はあなたが思っているよりもずっと安く、そろそろ株価を叩き落とそうとしているからあなたの好きな株価で買わせてくれたのではないでしょうか。
もし、大口が完全に強気で、相場をグイグイと引っ張っていくつもりなら、一般投資家に気分よく買うチャンスを与えないように上げるはずです。
なぜかというと、最終的に一般投資家に乗り遅れる恐怖を感じさせたいからです。大口が高値で利食いをするには、高い位置でたくさんの一般投資家が飛びついてくる状況が必要なのです。
ですから、買いやすい株価、割安な株価ではそう簡単に買わせないようにするはずです。
このような相場環境では陽線のローソク足は長くなります。
陽線の長さを見れば相場が強気なのかどうかがある程度わかります。
もちろん、出来高が伴っている必要がありますが。
明らかに上昇トレンドだと、誰に目にも明らかな状況において、最高の押しが発生し、良い株価で簡単に買えるなら、それはなにかがおかしいということかもしれません。
弱気のギャップアップ
ギャップアップには強気と弱気があります。
弱気のギャップアップで寄り付き、ひたすら下げ続けるようなことがよくあります。
ギャップアップは前日の終値に比べて高い位置で寄りつくわけですから、単純に強気だと勘違いしてしまいがちです。
しかし、そのギャップアップが弱気のギャップアップだった場合、出来高を伴う長大陽線が出るのとは意味が異なります。
弱気のギャップアップは多くのトレーダーの群集心理をつく大口の罠です。
特徴は以下のようなものです。
- 負け組み一般トレーダーを間違った方向に誘い込む(買わせる)
- 空売りしていた一般投資家を振るい落とす(ロスカットさせる)
- 大抵の場合、スイングハイを少し抜ける位置にギャップアップする
- 良いニュースを伴うことが多い
- 出来高は多くない
背景状況が弱気の相場で、スイングハイを少し抜ける位置に、良いニュースを伴ってギャップアップさせ、「どこまでも上がるんじゃないか?」という錯覚を起こさせて負け組トレーダーを誘い込む罠だということです。
強気のギャップアップ
当然のことながら、強気のギャップアップもあります。
大抵の場合、レンジ相場がしばらく続いた後に起こります。
レンジの上の方で買ったトレーダーはレンジ内の上下動の中で気をもみます。
上がるだろうか?
自分は最悪のポイントで買ってしまったのではないだろうか?
そんな不安を抱えます。
レンジの値動きがしばらく続くと、彼らの考えることは1つです。
できれば同値撤退したい!
彼らの同値撤退は売り注文となります。「やれやれ売り」ともいいます。
その売り注文がレジスタンスライン(抵抗線)となっています。
そのことを大口は分かっています。
大口はレンジの動きのなかで大量の買いポジションを作っていたとすると、いまにも相場を吊り上げたいと考えているはずです。
そのような場合、レンジの上の方で湧いてくる一般投資家の売り注文は邪魔な存在です。
その売り注文を除去するために大口がやるのは次のうちの2つです。
- 悪いニュースや見せ板(厚い売り板)を使って一時的に株価を急激に下落させ、買い持ちしている一般投資家をふるい落とす
- ギャップアップでレンジを一気にブレークさせ、一般投資家のやれやれ売りが出ないようにする
昨日まで含み損だった株が同値付近まで戻ってきたら、たいていの人は同値撤退します。(やれやれ売り)
しかし一気にギャップアップして買い持ちしていたトレーダーの含み損が一瞬のうちに含み益になったとしたら、やれやれ売りが出てきにくくなります。
逆に、欲が出て買い益しする人もいるくらいでしょう。
大口は、抵抗線を飛び越えてしまうことで、邪魔な一般投資家のやれやれ売りが出るのを防いでいるのです。
逆に、レンジ内で空売りしていたトレーダーは一気にギャップアップして含み損が膨らむので、気が狂ったようにロスカットします(成り行き買い)。その動きがさらに上昇のスピードに拍車をかけます。
このような強気のギャップアップでは、出来高が大きくなることが特徴です。
ギャップアップして出来高を伴って上げていく相場には決して逆らってはいけません。
また、そういう相場では押し目を待っていては買えないので、とにかく早く飛び乗るしかありません。
強気のギャップの特徴をまとめると以下のとおりです。
- ギャップアップの前にレンジ相場が続いていた
- レンジの上の方で買いが長い時間トラップにかかっていた
- トラップにかかっていた買いの「やれやれ売り」が出ないように、できる限り一気に価格を上げる
- 出来高が多くなる
ギャップじゃなくても同じこと
弱気のギャップ、強気のギャップを解説しました。
この考え方は、ギャップでなくても同じです。
例えば、日中の値動きの中で、レンジが続いた後、いきなりズバッと目にも止まらぬスピードで上にブレークして上げていくことがあります。
これは強気のギャップアップと同じことです。やれやれ売りが出てこないようにしているのです。
一方、弱気のギャップと同じように、一般投資家をトラップにはめるような、出来高の少ない急激な上昇が日中に起こる事もしょっちゅうあります。
出来高を伴うかどうかが鍵
ギャップアップにせよ、日中の陽線にせよ、その信憑性を確かめるには出来高を分析することです。
出来高を伴う上昇はギャップアップであれ、陽線であれ、信頼できる上昇です。
一方、出来高を伴わないギャップアップや陽線はトラップである可能性を多く含んでいます。
出来高を伴うといっても、あまりに大きな出来高を伴う場合は注意が必要です。ものすごい買いを吸収する売りがいたということも言えるからです。
ものすごい出来高なのに、陽線の長さがそれに見合わない場合は特に注意が必要です。
もう一つ大切なことは、ギャップアップや陽線のローソク足、それだけを単独で見てもあまり役に立たないということです。
その左側で何が起きていたか?を考慮することが大切です。
そうすれば、なぜ急激に上昇したのか?なぜギャップアップしたのか?の見当がつきます。
そのような上昇の途中で、小さな出来高でプルバックがあれば、プルバックの値幅が満足ではなくても自信を持って根拠のある買いをいれることができます。
なぜ相場操縦をするのか
大口が相場操縦をする理由は、自分に有利なポジションを作るため、そしてなるべく多くのトレーダーに間違ったポジションを作らせるためです。
相場の動きを観察していると、大口がかなり大きな買いポジションを既に作っただろうなと思える状況でも、さらに株価が下げることがよくあります。
そんな動きを見ると、大口はものすごい含み損になっているんではないか?
と思ってしまいます。
しかし、振るい落としをやっているのが自分自身であったり、自分の仲間だったり、鋭い分析力でその事実を掴んでいるのであれば、彼らは近いうちに株価が上がることが分かっています。
ですから大きな含み損が一時的に出ても構わないのでしょう。
大口の相場操縦は板読みや歩み値の読解、出来高分析、チャート分析で見破ることができます。
テクニカル分析やシステムトレードの聖杯を追い求めるのは止めた方がよいです。
相場操縦を見破ることこそが安定して勝てるトレーダーになるために大切なことです。
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