トレードメンタル、トレード心理というのはとても根の深い問題です。「ゾーン」などの損場心理本をサラッと読んで表面だけ分かった気になっても、実際には自分のトレード時の心の問題を解決できない場合がほとんどだと思います。今日はメール講座の読者の方からいただいた、「フラクタル」に関するご質問をシェアしたいと思います。
読者からのご質問
いつもメールが配信されるのを楽しみにしております。毎回、濃い内容にもかかわらず、難しい説明が、とても読みやすく表現して下さってあり、ひとつひとつ確認するように拝見させていただいております。
さて、私ごとで恐縮ですが、私はかなり前に225miniから始めたのですが、トータルで勝つことができずに資金がつらくなり、225miniより少額で出来るFXで再挑戦。しかし、ここでもトータルで勝ちにもっていくことができず、一旦、やめておりました。もっとも、やめていたとはいえ、やったり、やめたりの繰り返しで、ここまで来てしまっという感じです。
ブログでは板読みの解説の奥の深さには敬服しないではいられませんでした。
そして、サンチャゴ様のブログの中で、板読みと同様に、もしかしたら、それ以上に深く心に訴えかけてきて、忘れることができなくなった記事があります。
それはフラクタルに関する文面です。
トレードをしているときに、私は時々、自分でわかっているにもかかわらず、心の中から湧き出てくる衝動を抑えることができず、半ば投げやりになってでも自己を押し通してしまうことがあります。
親からは「株などはバクチと同じでギャンブル」ということは散々言われてきてますし、とにかく、株以外にのことでも親の考え方に対する不満のようなものはあるのだろうとは思います。決して対立しているわけではありません。親の言うことも理解してるつもり(抑え込んでいるだけかもしれませんが)です。
ただ、心のどこかで、トレードで結果を出して、納得させて安心させたい気持ちが強くあるのかもしれません。
ブログのなかで「重要なのは、夢の中での感覚や感情だ。言い換えると、夢へのリアクションとしての目覚めた時の感情」という文章があります。
私は夢はかなり見る方だと思います。そして夢の内容で疲れて目覚めることが多いです。
トレードとは関係なく、もともと自分の心の中には抱えているものがあって、それを自分の内面では既にそのことを認識してるにもかかわらず、それを探ろうとすると、それが何なのか、漠然としていて、自分でも、結局何かわからないまま時間だけが過ぎてきたのも事実で、このブログを初めて初めて拝見した時は大げさに聞こえるかもしれませんが大変な衝撃を受けました。
自分の心の中にあるこの感じを誰かに伝えるのは難しいと感じておりましたが、サンチャゴ様なら、私のこの拙い文章でも、何か、お伝えすることができないかと思い返信してしまいました。
フラクタルがかなり個人的な部分であることは承知しております。自分にしか解決できないだろうということもわかっております。
トレードに関する文章を待っている多数の読者がいるこのメルマガでフラクタルに関するアドバイスを希望しますと自分勝手なことは申しません。
でもいつか、お時間があって、ブログの更新時に、フラクタルに関する何かアドバイスがあれば、またよろしくお願い申し上げます。
では、健康にはくれぐれもご留意くださいませ。ご一読を頂きありがとうございました。
サンチャゴからの回答
「心のフラクタル」は本当に大きな課題だと思います。
トレード手法の記事ではなく、フラクタルの記事に注目していただいたということは
○○様は本当にトレードに本気で取り組んでおられるのだなと思いました。
メールを拝見してまず思ったのは、○○様の問題点は、
「トレードで結果をだして親を安心させたい」
という気持ちだなと思いました。
トレードの結果で誰かを見返したいとか、認めさせたいという願望が入り込むと、ただでさえ難しいトレードがさらに難しいものになってしまいます。
自分のトレードは自分のトレードであり、だれにも関係なく、誰かを認めさせる必要はありません。
ただ単に「優位性がある」と自分が思う立ち振る舞いをひたすら繰り返すだけ。
という状態にならなければ、トレードで安定して勝つのは難しいと言わざる負えません。
他人に認めてもらいたいという気持ちがあると、「今回だけは勝たせてくれ!」「なんでもいいから今月はプラスで終えたい」といった、悪い心理状態でトレードすることになってしまいます。
こんな風に偉そうに言いましたが、かつての私と似ているから良くわかるのです。
以前もどこかで書いたと思いますが、私は20代にトレードの世界に踏み込み、最初の一年でほぼ全財産を失いました。トレーダーとして本当に最悪のスタートを切ったんです。
そして生活をすることができなくなり、実家で世話になったことがあります。
その時期に私の中にあった感情は、「早く結果を出して親を安心させたい」「大失敗した自分が恥ずかしい」「見返してやりたい」「ひどい目に遭わせた相場にリベンジしたい」といったものでした。
何よりも一番自分を苦しめたのは、父親が思っているであろうこと、心の中で聞こえてくる声でした。
「やっぱりお前はダメな人間だ」
「おまえには才能がないのだから、もっと無難なことをやれ」
「お前は凡人だ」
それは私が物心ついたころから言い聞かせられていた言葉でした。
大人になってから実際にそんなことを言われたことはありませんし、父親とは良い関係です。
しかし心の中でだけ聞こえてくる父親の声は私にとって成功を遠ざるものでした。
それが私にとってのフラクタルでした。
それはそれは辛かったです。なかなか結果は出ないし、お金は足りないし。もう最悪の時期でした。
それで私がとった解決策は、フラクタルを克服するということではなく、再び完全に自立し、トレードで誰かを認めさせる必要のない環境に置く事でした。そして父親とも距離を置きました。
工場で流れ作業の仕事をして、ワンルームの部屋に帰ったらトレードの勉強や研究をするという生活を選びました。まぁ大変でしたが、誰にも自分のやっていることを説明する必要がないし、認めさせる必要もないですし、ずいぶん気は楽になりました。
オレはトレードが好きだから、トレードという世界で宝探しをやるんだ!悪いか!
ワンピースのルフィーが海賊王を目指して航海するのと同じだ!
もしトレードでまた大負けしても誰にも笑わせない。少なくとも自分で自分のことを惨めだとは思わないようにしたいと思いました。
それでふっと肩の荷が降りて精神的に楽になりました。もしこの選択ができていなかったら、私はずっとフラクタルに苦しめられて、今の自分は無かったかもしれません。
もちろん、今でもフラクタルは消えていません。ときどき表面化して悪さをします。そんなときは逃げるしかないです。
フラクタルというのは決して完全に解決できるものではありません。なぜかってフラクタルは自分の心を作っている材料だからです。元になっているものを無くすことなんてできるものではありません。
フラクタルの悪影響が出るのをなるべく避けれる環境に身を置くこと。そしてトレード中にフラクタルの影響でバカな行動を取り始めたらサッとトレードを中止する。これしかないと思っています。
ここで○○様のトレードへのやる気を煽るつもりは全然ありません。トレードを辞めて他の分野で頑張るのも賢い選択だと思います。トレードで成功できるぐらいの努力をしたら、他の分野でも成功できというのはあるんですよ。
視野を広く持ち、もしトレードをやるなら自分のやっていることに誇りを持ち、楽しくやってほしいなと思いました。
○○さまの参考になれたなら幸いです。
PS:あと、夢日記に関しては、あまり深く考えず、夢で目覚めた時の感情を記録しておけばよいです。自分のフラクタルがどんな感情なのかを探るための一つの方法にすぎません。よくわからないならスルーしても良いです。
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