この記事では、GMOクリック証券の取引ツール「はっちゅう君」に搭載される「同一気配約定情報」を使い、板読みと歩み値の読解を簡素化する方法を解説します。
「株や日経225先物デイトレードのエントリー精度が低くて困っている!」
「歩み値が上手く読めない!」
という方は是非参考にしてください。
この記事はデイトレードやスキャルピングを極めたい方にとってかなり重要な記事となります。じっくり読んで必ずこのスキルをマスターしていってください。
目次
「同一約定情報」とはどんなツール?
(画像をShift+クリックで別ウィンドウで開いておくと記事が読みやすいです)
なにやら上半分にはエクセルのシートのようなものが、
下半分にはチャートと出来高ヒストグラムのようなものがありますね。
詳しく説明しましょう。
上半分の解説 ~ 同一気配約定情報
上半分から解説します。
この表の各行が何を表しているかというと、
ある瞬間の最良売り気配と最良買い気配において、
どれくらいの成り行き買注文があったか
どれくらいの成り行き売り注文があったか
そして差し引きでどれくらい成り行き買い注文が成り行き売り注文を上回っていたのか
ということを表しています。
板が食われるかキャンセルされて最良売り気配か最良買い気配が変わると、新たな行が上に追加されます。
そして、その新たな最良売り気配、最良買い気配の組み合わせで計算がいちからスタートします。
この画像の一番上の行(ピンク)が何を表現しているかというと…
まず、
売り気配が1235
買い気配が1234
となっていますね。
この時、板はこんな感じだったことになります。
板情報
売数量 値段 買数量
***** 1235
1234 ******
(板に何枚の指値が入っているかは「同一気配約定情報」からは読み取れません。)
青の売り約定の列では
買い気配の1234に向かってどれだけの成り行き売り注文がぶつけられたのか、その合計が表示されます。
赤の買い約定の列では
売り気配の1235に向かってどれだけの成り行き買い注文がぶつけられたのか、その合計が表示されます。
一番右の買約定残数(黄色)では
買約定(成り行き買い合計) - 売約定(成り行き売り合計) の計算結果が表示されます。
つまり、今の買い気配、売り気配の状態で成り行き買い注文が成り行き売り注文をどれだけ上回っていたかを示します。
成り行き売り注文の方が多ければマイナス表示されます。
要するに、今この瞬間、買い方が強いのか、売り方が強いのかを、いちいち歩み値を見て頭の中で計算しなくても、ひと目でわかるということです。
下半分の解説 ~ 同一気配約定情報
次に下半分の解説です。
ここに表示されているチャートの足一本が先程解説した表の1行ぶんを表しています。
それぞれの足の高値がその瞬間の最良売り気配、安値が最良買い気配の値段です。
板がスカスカな銘柄などスプレッドが大きく開く場合、足の高さが高くなります。
先程の例だと、1235が高値で1234が安値の足になります。
(この画像では場が終わった後に、丁度よい部分を探すためにスクロールしているので上下が対応していません)
そして、一番下の出来高ヒストグラムが、上の表で集計された「売約定」と「買約定」の数量を示しています。
赤のヒストグラムが買約定、青のヒストグラムが売約定です。
ここまで読んで、勘のいい方ならもうお分かりですね、
「同一気配約定情報」を見ているだけで、
買いの方が強いのか?
売りの方が強いのか?
大口は買っているのか?
大口は売っているのか?
といった、歩み値を注意深く観察していないと分からないことが簡単に見えてしまうんです。
早い話が、同一気配約定情報は歩み値のサマリーみたいなものです。
歩み値を読みやすいようにまとめてくれているんですね。
素晴らしい!
使い方の例~同一気配約定情報
次に、私が今日(2014年1月29日)トレードしたセットアップを例に挙げて解説し、同一気配約定情報の総仕上げをしましょう。
銘柄はパナソニック(6752)です。
レジスタンスラインとして 1239 ~ 1249 あたりのエリアを意識していました。
1月23日の高値から1月27日の安値にかけての下落に対するフィボナッチの61.8が1249、
1月24日に下げ始めたところのトラップラインが1239です。
そのあたりまで上げてきて、大口が売り始めたら自分も空売りするというトレードプランでした。
1235で寄った後、乱高下しながら落ち着かない感じで1241まで上げてきます。
ここで同一気配約定情報の出番です。
紫のエリアは先程チャートで説明したレジスタンスエリアの下の方を示しています。(1239~1249)
ここまで上げてきましたが、大口は売っていますか?
売っていませんね。
買ってますよね。
緑で囲った部分に注目です。
ヒストグラムでひときわ目立つ赤色の出来高(成り行き買い)ができています。
1240の買約定に57500という大きな買いが入っているのが分かります。
(1240売り気配に57500株の成り行き買いがぶつけられた)
この成り行き買い57500株の内訳は、歩み値を見ると分かります。
緑で囲った部分が1240にぶつけられた成り行き買いの部分です。
ピンクで囲った37200株、12800株、
そしてその他小さな買いであったことが分かります。
レジスタンスエリアまで上がってきてはいますが、1240を大口が買っているのでまだ空売りはしたくありません。
青で囲った部分がその直後の弱い押しです。
ここでいったん下げますが、そこで慌てて追いかけるようにして空売りしてはいけません。
小口の売りと一緒に空売りするのはうまくないからです。
ココは我慢の時。
案の定、再び上げ始めて先程の高値1241を1ティック抜けて1242をつけます。
ここからが面白い部分です。
次はこの画像を見てください。先程見ていただいた同一気配約定情報の続きです。
緑でマークした部分を見てください。
1242が100株だけ買われた直後に1241売り気配に45900株の成り行き売り注文がぶつけられたのです。
さっきと違って青色、大きな成り行き売り注文が入ったことを示しています。
その内訳がまた面白かったんですよ。その時の歩み値を見てみましょう。
1241の売り気配に39200株の売りがぶつけられています。
この39200株と言う数字、見覚えありませんか?
さっき1240が37200株買われていましたよね。
最初の高値を1ティック抜けた後、ほとんど同じ枚数の大口売りが出たわけです。
買っていた大口があきらめてポジションをクローズしたのか、それとも別のトレーダーが売り叩いたのか、本当のところは分かりません。
しかし、このような分かりやすい大口注文の動きを見たら私は迷わずエントリーします。
39200株の売りが出るのを見た直後に私は空売りを始めました。
ロスカットは、100株だけ買われた瞬間に拒絶された値段、1242の1ティック上、1243です。
その後はほぼ一日下降トレンドとなりました。
いかがですか。
GMOクリック証券のツールを使うと、大口注文の動きが比較的簡単に読めるということを分かっていただけたと思います。
GMOクリック証券の同一気配約定情報が一番
実は松井証券やマネックス証券などもこれと同じようなツールを提供しているのですが、GMOクリック証券のものが一番使いやすいです。
なぜなら、GMOクリック証券の同一気配約定情報はウィンドウサイズを自由に変えられるからです。
松井証券の同一気配約定情報はウィンドウサイズを変更できないので、こんな感じで若干表示できる行が少なく、ちょっと前の情報がすぐに見えなくなってしまいがちです。
その点、GMOクリック証券の同一気配約定情報は、ウィンドウサイズを自由に変えられるので、こんな風に縦長にして、よりたくさんの行を表示できます。
ちょっとしたことですが、細かいところの使い勝手が日々のデイトレ結果に影響します。
GMOクリック証券のツールを使って板読み/歩み値を簡素化する方法 まとめ
この記事では以下のことを学びました。
- GMOクリック証券が提供する同一気配約定情報を使えば、難易度の高いスキル「大口注文の動きをとらえる」を簡素化できる
- 同一気配約定情報は歩み値のサマリーみたいなもの
- 同一気配約定情報を使うなら、GMOクリック証券のものが一番
いかがでしたか?
このツールを使えばかなり歩み値の読解を簡素化できることが分かったと思います。
え?そんなに簡単なことだったの?
と思うかもしれません。
はい、その通りです。
安定して勝てるトレーダーは、なにかロケットサイエンスのような複雑なことをしているわけではないんです。
「大口が何をしようとしているのか」のストーリーを自分なりに描き、大口注文を読んで、いい感じならエントリーする。
大口が自分のシナリオと違うことをしているならエントリーしない。
エントリーした後に大口が違うことをし始めたら速攻でロスカットする。
それだけのことなんです。
うーん、私の手法のかなりの部分を暴露してしまったなー(笑)
この記事、長いから読むのが大変ですが、ブックマークして何度も読み返し、必ずモノにしてくださいね。
ということで、「プロはこう使う!GMOクリック証券のツールを使って板読み/歩み値を簡素化する方法」の解説を終わります。
デイトレーダーにオススメ!板読み/歩み値を簡素化できるGMOクリック証券 の記事では、私がGMOクリック証券をデイトレードのメイン口座として使っていることをご紹介しました。
この記事で解説した「板読み/歩み値を簡素化する方法」以外にもGMOクリック証券にはメリットがたくさんあります。この記事にピンときた!という方にはとても役立つ証券口座だと思います。まだ口座をお持ちでない方は是非チェックしてみてください。
こう says
atありがとうございます。
いつも勉強させて頂いております。
一つ質問ですが、1240の買約定に57500という大きな買いが入った時に、
レジスタンス突破の可能性があると判断し、買いに入ったらだめでしょうか。
買いを見送りするとして、1241の大口の売りも出ない場合、いつのタイミングで買いに入りますか。
サンチャゴ says
atこう 様
私が逆張り好き&空売り好きだということなので、ブレークアウトの判断はそれほど研ぎ澄まされていないかもしれません。
また、その日のトレードプランがレジスタンスでの空売りだったという前提で、話半分に聞いてください。
もしあなたのトレードプランがレジスタンスラインのブレークアウトだったとしたら、下記のような理由で1240付近での買いは見送るべきだったと考えます。
・その日は寄りからそれほど歩み値のスピードが速くなかったこと
・出来高もそれほど多くなかったこと
・レジスタンスエリア(チャート画像の青塗りエリア)を突き抜けていくには5万株程度の買いを見ただけでは不十分であること
ただ、トレードプランがブレークアウトだったなら、大口買い注文を見て買うのは全然間違ってないと思いますよ。
1240の売り板を落としたあと、そこに買い板を積めないのを見たらすぐにロスカットすればよいだけですからね。
自分のシナリオ通りにことが進んでいたかどうかということです。
サンチャゴ says
atこう 様
補足説明です。
1241で大口売りが出ない場合にどこで買うか?ですが、
先程説明した寄りからの相場状況により、あまり相場に勢いが無いわけですから、「相場に飛び乗る」感じのエントリーはしません。
1241の大口売りが出る直前に2ティックのミクロなレンジができています。
そこで売り板に大きな見せ板があり、買い板にアイスバーグ注文があって小口の売りをひたすら吸収する動きがみられたら、そこは買いを狙うかもしれません。
こう says
atサンチャゴ様
丁寧にご回答頂きましてありがとうございます。
とても勉強になりました。納得です。
実戦の時はどうしても冷静になれず、ついつい飛び乗ってロスカットが遅れたりする事は多かったです。
これからこの手法を活用させていただきます。
どですかでん says
atサンチャゴ様
始めました
私は、デイトレ修行中のものです
貴殿のBLOGは、非常に衝撃的な内容で毎回勉強させていただいております。
ところでサンチャゴさんのプロフィールおよびどのようにしてこのようなすごい手法を身に着けたかをお教えいただけますでしょうか。
少しでも貴殿のレベルまで近づきたいと思っております
よろしくおねがいいたします
サンチャゴ says
atどですかでん さま
コメントありがとうございます。
いつもブログをお読みいただきありがとうございます。
私は名も無き専業チキンデイトレーダーです。
13年ものあいだ相場にどっぷりつかってきました。
どのようにこの手法を身につけたか。
チャートや派生的なテクニカルへの依存から自分を解放し、板情報と歩み値、つまり、その瞬間じっさいに相場で起きていることを毎日毎日見続けることで私は自分の手法を身につけました。
私のブログが役立つことを願ってます。