歩み値の読み方は最も誤解されているトレードスキルの1つだろう。
デイトレーダーやスキャルパーは誰もがそのスキルを得たいと思っていると思う。
そして、そのスキルについて、私の知る限り、ウェブ上にはまともな情報は存在しない。
「売りが多いぞ、売りがバーッと流れた」
「売りだー!空売りだー!」
そんな感じでトレードしているデイトレーダーも多いだろう。
だがそんな程度では歩み値は役に立たない。
歩み値とは
歩み値を読むことは「テープリーディング」などとも呼ばれる。
なぜ「テープ」か?
1870年代、アメリカでティッカーテープマシンなるものが発明された。
それは基本的にテレグラフマシンを改良したものだった。
銘柄コード、株価、出来高が連続で印字され、ロール状の用紙に印字されるというものだった。
当時、証券ブローカーでは、このティッカーテープの周りにトレーダーたちが集まるようにしてテープを読み、デイトレなりスイングトレードなりをしたそうだ。
このツールはトレーダーが入手できる情報の量、スピードを劇的にアップさせ、当時のトレード界に革命を起こした。
詳しく知りたい方はこの本を読むと良いだろう。
文庫 板情報トレード――テープリーディングのプロが教える株式売買法 (PanRolling Library)
約140年の時を経た現在、テープは歩み値にとって代わられ、PCのモニター上に表示されている。
今も昔も変わらぬ、唯一ピュアな情報だ。
歩み値を読めるようになれば、エントリーのタイミングを微調整することができ、トレードパフォーマンスを上げることができる。
「歩み値なんて意味不明だ。チャートだけで十分」
「アローヘッドの登場で板読みも歩み値も機能しない」
そういう人は、じっくり考えてみてほしい。
225mini先物を10000枚でスキャルピングしている機関投資家がいるとする。
彼らは重要なラインをすべて把握している。ピボット、移動平均、レジスタンスライン、サポートライン、フィボナッチライン。
そして彼らはどこに一般投資家の損切注文があるのかも把握している。
もしあなたがチャートだけを見てトレードしていたら、損切注文にかかってしまって初めて、機関投資家の罠にはまったことを知るだろう。
もし正しく板や歩み値を読めるなら、大口機関投資家が動いていることに気づくことができる。
10000枚トレーダーがポジションを作っているのを見てそこに乗っかるのか、
そんなことはお構いなしでチャートだけを見てエントリーし、彼らの餌食になるのか?
そういうことだ。
どんなに小さな時間軸のチャートを見ても、歩み値が与えてくれるのと同じ情報は得られない。
歩み値と板情報
歩み値について語るとき、板情報は欠かすことができない。
歩み値を正しく読むには板情報の助けが必要なのだ。
どのように助けるのか?
板はチャートが決して表示することができない情報を表示できる。
板には、起きなかったことが表示されるのだ。
そう、書き間違えではない。「起きなかったこと」だ。
一方、歩み値には1000分の数秒前に起きたこと、つまり実際に約定した取引が表示される。
板を読めると、大口機関投資家が他のトレーダーを罠にはめて自分と逆のポジションを作らせているのを見ることができる。
彼らが10000枚のショートポジションを持ちたいなら、10000枚の買い手が必要だ。
かれらはその10000枚の買い手を自らの手で作り出す。
小口のトレーダーが買いたくなるような状況を演出するのだ。
そして買い手が少し下にストップオーダーを置くのを見越していて、彼らのストップ注文(損切り注文)で自分のショートポジションを上手く利食いする。
相場経験の浅い方はピンと来ないだろう。
考えてみてほしい。もしあなたが大金持ちで、日経225先物10000枚のショートポジションを作りたいとしたら、いきなり成り行きで10000枚の空売りなどするだろうか?もちろんしないだろう。
そんなことをしたら、自分の注文で相場が崩れてしまい、不利な価格でショートポジションを持つことになってしまう。
だからといって、突然10000枚の指値を売り板に入れても誰も買ってくれない。なんの理由もなく分厚い売り板を買いに行くような人はいないからだ。
そうなると、見せ板などの相場操縦的な方法を使い、なるべく有利な値段でポジションを作ろうとするはずだ。
相場操縦は悪いことでもなんでもなく、大きなポジションを動かそうとするときに必要不可欠なことなのだ。
このようは相場操縦はチャートには決して現れない。
チャートに表示されるのは価格の上げ下げだけだ。
しかし、もし板情報と歩み値の読み方を知っていたら、相場操縦が行われていることを認識することができる。
私のライン逆張りトレードにおいて最も重要なスキル、「ラインで止まりそうかどうかを見分ける」において、歩み値と板情報は大きな役割を担っていて、エントリーの最終的なトリガーとなることが多い。
「歩み値」に関する記事のもくじ
- 歩み値の基本のきほん 歩み値の売り/買いどっち?
- 歩み値の読み方 【1】
- 歩み値の読み方 【2】
- 歩み値の読み方 【3】
- 歩み値の読み方 【4】
- 歩み値の読み方 【5】
- 歩み値の読み方 【6】
- 歩み値の読み方 【7】
- 歩み値の読み方 【8】
- 歩み値の読み方 【9】
- 歩み値を読むための 6つの要素 【1】 歩み値のスピード
- 歩み値を読むための 6つの要素 【2】 歩み値のサイズ
- 歩み値を読むための 6つの要素 【3】 歩み値の支配権
- 歩み値を読むための 6つの要素 【4】 歩み値の結果
- 歩み値を読むための 6つの要素 【5】 歩み値のやる気
- 歩み値を読むための 6つの要素 【6】 歩み値の あきらめ
- 歩み値の6要素 まとめ
- ラインでリバーサル(反転)するか?歩み値を使って判断する方法
- ラインをブレークアウトするか?歩み値を使って判断する方法
- 株デイトレーダーの筋トレ|歩み値読解力をつける3つの練習法
- アイスバーグ逆張りデイトレ手法 めちゃめちゃ役立つ4つの注意点
- エントリーの精度が上がる!ストップ注文(損切り注文)の見分け方
- 大口はマインスイーパー?ストップ狩りについて考えてみた
- 株・日経225先物デイトレーダー必見! 逆張りエントリーマニュアル
- 変化に気づいてデイトレで勝つ!歩み値を使って相場の変化に気づく1つの方法
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