エントリーセットアップの作り方

相場の基礎を理解したら、その知識を利用して具体的なトレードルールを作ることになります。

私のエントリーセットアップをまねてもいいですが、自分専用のトレードセットアップを作るのが一番です。人それぞれ性格が違うので、その人にとっての理想的なトレード手法も違うからです。

この記事ではエントリーセットアップを作る考え方を解説します。

基本的なことを決める

基本的なことはあらかじめ決めて文書化しておく必要があります。

ロスカットの金額はいくらまで?
何をトレードしよう?
エントリーのルールはどうしようかな?

そんなことをトレードしている最中にいちいち考えていてはトレードに集中できません。

どんなことを決めておけばよいでしょうか。

・どの市場でトレードする?(FX、東証一部銘柄、日経225ミニ先物、商品先物 etc…)
・時間軸は?(デイトレード、スイングトレード、長期トレードetc)
・トレード対象となる相場環境は?
・どんな時にトレードしないようにする?(指標発表の10分前からエントリーしないetc…)
・エントリーのシグナルは?
・ロスカットの設定は?
・利食いの設定は?
・トレードマネジメントは?

どの市場でトレードする?

どんなトレード対象を選択してもよいと思います。
しかし、ちょっとだけ考えてみてください。

トレードする市場を考えるとき、ほとんどの人は最初に出会ったトレード対象に固執する傾向があると思います。
しかし視野を広く持ち、より自分に合った投資対象を選んでみてはどうでしょうか。

まず、東京市場の時間で超短期のスキャルピングをするなら、FXよりも日経225ミニ先物か日本株が良いと思います。

取引コストの安さ、板の厚み、取引の透明度などの理由から、数ティックを狙うようなスキャルピングをするなら日経225先物が一番有利だと思います。
225ミニ先物をトレードしている限り、とてつもなく大きな値の滑りで大損するといったことはほとんどありません。

日経225ミニ先物の市場では、数ティックをコツコツと稼ぎ、一回のトレードでロスカットの値が滑って30ティック負けるといったことはほぼ起こり得ないのです。それぐらい板の熱い成熟した市場です。

また、株や日経225ミニ先物は、正式な取引所を通して取引しますので、どれだけ頻繁に1ティック抜きをしても誰にも何も言われません。
FXの場合は業者が市場を作っているので、あまり頻繁に高速スキャルをやると嫌われて目をつけられるかもしれません。

一方、日本時間の夕方以降にトレードしたい場合や、小さな資金でスイングトレードをしたい場合にはFXが良いです。
FXは日本時間の夕方からが本番です。また、小さなポジションサイズでトレードできるので、ロスカット幅が大きくなりがちなスイングトレードでもトレードしやすくなっています。

私は基本的には午前中は日経225ミニ先物を中心に、時々株もトレードします。

ヨーロッパ時間~ニューヨーク時間にかけてはFXをトレードします。

時間軸は?

5分足のデイトレードをするのか、日足や4時間足などを使ったスイングトレードをするのか、それとも長期のトレードをするのか。

経験を積んでいくといろんな時間軸でトレードするようになりますが、最初のうちはどの時間軸でトレードするのかを決めておきましょう。

相場環境

トレード手法にとって、「どんな相場環境でエントリーを狙うか」ということは最も重要なことです。

相場は生き物なので、何らかのインジケーターの数値が○○になったら、といったルールを決めることはできません。

私にできることは、チェックリストを作ることです。

「このようなことが起きていたらエントリーを検討する」というようなことといくつかリストアップしておき、それらをチェックリストのように使ってエントリーの判定をする方法にしています。

トレード禁止条件

「こんな時はトレードしない」というルールも必要です。

・経済指標発表の10分前からはデイトレードやスキャルピングのエントリーを控える
・8月と12月はトレードを休む
・寝不足の日はトレードを休む
・体調が70点以下の日はトレードを休む
・なにか大きなことがプライベートで起きた時にはトレードを休む
・大きな心配事がある日にはトレードを休む

などといったルールを決めています。

人それぞれですが、長年トレードしていると、こんな日は負けやすいとうのがあります。それは相場環境の場合もありますし、自分自身の体調だったりもします。

あなたもそういった「トレードしない条件」を決めておくことで、長期的な成績を上げることができると思います。

エントリーのシグナル

局所的に何が起きたらエントリーするのかを決めます。

私の場合は、

優位性のある位置(と私が思う位置)で
スイングリバーサル
トラップのパターン
試しでの需要減少/供給減少

などが起きたらエントリーするようにしています。

ロスカットのガイドライン

以下2点を決めておきます。

・位置のガイドライン
・ロスカット金額のルール

ロスカット位置のガイドライン

どの位置にロスカット注文を置くのかのガイドラインを決めておきます。

スイングハイ、スイングローにロスカットを置く
エントリーの根拠となったローソク足の安値/高値にロスカット注文を置く

などいろいろな方法があります。

いろいろとやってみて、自分が精神的にも耐えられ、結果がでいる方法を模索する必要があります。(これは人によって違うはず)

自分なりのガイドラインを作っておき、それに従ってトレードするようにしましょう。
サンチャゴのロスカット注文ガイドラインも参考にしてください。

ロスカット金額のルール

1回のエントリーでいくらまで負けてよいのかを決めます。

トレード資金に対して1%~2%ぐらいというのが一般的です。

1%モデルの場合、資金が100万円なら1トレードで1万円まで負けても良いということになります。

そこから逆算し、ロスカット幅を考慮してどれぐらいのポジションサイズまでエントリーしてよいのかを決めます。

その方法については、インターネット上で「ポジションサイズ計算機」などで検索するといろいろと出てきますので参考にしてください。

初心者の方へアドバイスしたいことは、最初の1年は、いくら自信が付いたとしても控えめな資金管理でトレードを続けるようにしたほうが良いということです。

初心者の方は0.5%モデル以下、少し自信を持ち始めている人でも1%モデルが妥当だと思います。とにかく最初のうちは控えめにトレードしてください。

利食いのガイドライン

20pipsなど数値目標でもよいですが、多くの場合はサポートライン/レジスタンスラインなど意味のある位置に利食い注文を置くほうが上手くいくと思います。

私の場合はレンジ逆張りエントリーの場合、利食い目標はレンジの真ん中あたり(HVN)とレンジの反対側のラインの2か所になります。

トレンド順張りの場合は、エントリーのあと次のレジスタンスライン/サポートラインで半分利食い。残りは利益を伸ばすことにしています。

それ以外にも、何が起きたら利食いするかを決めておくと効果的です。

買いエントリーの場合だと…

・バイイングクライマックスが起きたら利食い
・大口の吸収が起きたら利食い
・エクステンションの弱まりが見られたら次の上昇で利食い
・キャラチェンジが起きたら利食い

などです。

建玉法についてのガイドライン

どのような方法でポジションを作っていくのかを決めます。

・一括でエントリーするのか
・分割してエントリーするのか
・難平買いをするのか
・乗せをするのか
・何ユニットでエントリーするのか

といったことです。

私の場合、基本的には

・一括でエントリー
・2~3ユニット以上でエントリーし、分割して利食い

という方法を使っています。

「2ユニット」とは、2分割できる枚数という意味です。

以上のようなことをあらかじめ決めて文書化しておくと、トレード中に余計なことを考えずに値動きに集中することができ、慌てることなく冷静にトレードしやすくなります。

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コメント

  1. BJB より:

    お世話になっております。上記の『基本的なことを決める』に記載されている『エントリーのパラメータ』とは具体的にどのような意味になるでしょうか? シグナルと同意、あるいはシグナルとみなすべき範囲のような意味でしょうか?

    1. チームサンチャゴ より:

      「エントリーのシグナル」の間違いでした。
      大変申し訳ございません。

  2. micky より:

    サンチャゴ様

    いつもありがとうございます。

    相場環境の項目では、何をすればよいのかイメージができておりません。

    ・相場環境とは、相場サイクルの事でしょうか?
    ・エントリーのチェックリストと後で出てくるエントリーシグナルの違いを教えていただけますでしょうか?
    ・エントリーのチェックリストの何か例を教えていただけると助かります。

    1. micky より:

      サンチャゴ様

      http://real-trader.net/team-santiago/value-trade1
      上記のバリュートレードのページでイメージをすることができました。
      質問を取り消しさせてください。

      お騒がせしました。

    2. チームサンチャゴ より:

      コメントありがとうございます。

      >・相場環境とは、相場サイクルの事でしょうか?
      はい、相場サイクルのことです。トレンドやレンジという言い方でも良いです。

      >・エントリーのチェックリストと後で出てくるエントリーシグナルの違いを教えていただけますでしょうか?
      チェックリストとは、エントリーシグナルが出たらエントリーを狙う環境はどんな環境か?ということです。

      ローソク足の形やパターンだけを見た場合、スイングリバーサルやローソク足の反転パターンなどのエントリーシグナルはいたるところで発生します。

      しかしそれらがエントリーシグナルとして採用されるのは、チェックリストに合致する相場環境においてのみです。

      >・エントリーのチェックリストの何か例を教えていただけると助かります。

      例えば、

      ・セリングクライマックス(とどめの下げ)の後のキャラチェンジが起きた
      ・しばらくレンジが続いた後、勢いよくブレークアウトしてきた

      などです。

  3. Peso より:

    サンチャゴさん

    サンチャゴさんの使われている、エントリーのシグナルとして挙げられたものの中で、
    「トラップのパターン」と、「試しでの需要減少/供給減少」があります。

    「トラップのパターン」ですが、これは、「本質のチャートトレード」の内容を刺されているのでしょうか?VCA1.0では、私の理解では、トラップのパターンについての言及はあまりないように思われます。それとも、長いトレンドからキャラチェンジに入った場合、レンジがしばらく続くことが予想されるため、すぐに出てきたブレークアウトには、勢いが弱まったところで逆張りする、というようなことを指しているのでしょうか?或は、レンジからトレンドへの転換前には、レンジの上下限に、3回程度のトライがある、といったことなのでしょうか?

    「試しでの需要減少/供給減少」は、少額の試し売りで、レンジの上(下)限等での、努力と結果の分析を行い、例えば、売りの出来高が大きいのに、売りの結果が出ずに、じりじりと上げていく場合は、上ブレークを疑う、というようなことなのでしょうか?

    宜しくお願いします。

    1. Peso より:

      「バリュートレード」の4ページに、需要供給のエントリーの言及がありました。
      すみません、見落としていました。残る、「試し」について教えていただけますか?
      サンチャゴさんのエントリーは、基本、一括エントリー、分割決済ということなのですが、打診売り・買いという事でしょうか?その場合には、どのような状況で、打診を行うか、そして、どの時点で積み増すか、教えていただけますか?

      1. チームサンチャゴ より:

        試しとは、試し玉ということではなく、試しの値動きに需要/供給(出来高)が伴わなければエントリーということです。

        例えば、サポートライン付近で振るい落としの動きが起きた後、再度その価格帯を試しに来た時、最初の振るい落としよりも出来高が圧倒的に小さくなっているような状況です。

        ちなみに、私は一括エントリーが多いですが、分割エントリーも積極的に練習して取り入れていってます。
        その辺りは、まだ自分の中でも検証中なので、安易な解説は避けようと思います。

        1. Peso より:

          サンチャゴさん、
          ありがとうございます。
          「トラップのパターン」については、如何でしょうか?
          宜しくお願いします。

          1. チームサンチャゴ より:

            こちらの質問を見逃しておりました。申し訳ございません。
            回答いたしましたので、参考になれば幸いです。

    2. チームサンチャゴ より:

      トラップのパターンにはいろいろありますが、基本的には…

      「意識されているラインを抜けたのに、ラインの内側に戻ってしまった」という値動きです。

      私のFXのブログの「プライスアクション講座」の内容もそうですし、「本質のチャートトレード」もそうです。

      1. Peso より:

        わかりました、ご回答ありがとうございました。

  4. シシメル より:

    サンチャゴ様、
    お世話になっております、いつも有難うございます。
    ご教示通り、相場環境・トラップ・ライン全て読み(素人なので読んだつもり)、優位性があると考えられる位置に来た時だけ、ローソク足パターンの完成等で成り行きや逆指値でエントリーしても、結果的に方向性が正しいとしてもエントリー直後からのローソク足数本の値動きでIFDOの自動で入れるOCOのストップが最悪トリガーされることも多いです。強弱の読みがまだまだ甘いのでしょうが、早期にトレンドチャネルが引けるような状況下でも10ティックのストップ(ドル円5分の場合)に引っかかると非常に嫌です。チャートの左側を認識しプルバックのセカンドトラップでのエントリーを狙うのですが、相場の順張り、間違った方向の逆張り、ローソク足の完成(=順張り)だと持ち値が悪い事も多く10ティックを耐えられないのです。。。2、30枚で数万の損失が、本来なら正かった?とも言える予測で、マーケットのブレでトリガーされるのは非常に辛い。明確なトレンドが出た場合は特にMAやチャネル上で指値エントリーの方が結果的に持ち値が良くストップがかからない事も少なくありません。ドル円5分をメインチャートにした場合はIFDOの自動で入れるストップは10ティックで十分だと考え、相場を注視して間違ってると判断したら早期にカットするのですが、エントリーの甘さが自分を苦しめています。もし、ご助言を頂戴できれば幸いです。
    ありがとうございます。

    1. シシメル より:

      何度も失礼いたします。ご指示通り、ラインに引きつけて引きつけてエントリーをしようとしているのですが、ローソク足の完成を待ってからエントリーした場合にはどうしても、当初エントリーしたかったレベルからは若干持ち値が悪いこともあり、ポジションメイキングと同時に入れる固定的なOCOのストップサイドがトリガーする事も結構有ります。2、3ティックが明暗を分けてしまうのです。確実性を求めている事は全く無いつもりですが、自分で優位性の高いはずの?エントリーと思っている背景もあって当初の固定的なストップレベルまで待ってしまう傾向があり、その後のエントリーに悪い影響が出てしまうのです。自分が重要と思えるレベルで、予測してきた通りのローソク足パターンが出たら、コンファームされたエントリーとして納得し、速やかに実行するのですが、まだまだ実弾の経験不足で苦しい日々が続いております。何か根本的な間違いをしているのかもしれません?ご助言を頂戴出来ましたら有り難き幸せです。いつもありがとうございます!

    2. サンチャゴ より:

      どんな時も10ティックというのではなく、チャートを読んだうえで、「ここを下回ったら、これ以上持ちたくない」という位置にストップを入れるようにしてみてください。

      ご自分のトレード結果を分析し、指値エントリーのトレードのほうが成績が良いなら、その方法を採用してください。
      指値は位置的な優位性をとることができるので、そのほうが気持ちが楽という人もいて、それは決して間違っていません。

      ご自分に向いている方法、納得のできる方法でトレードすべきです。

      あと、組み合わせでエントリーするのも良いです。
      セリングクライマックスを待ち、キャラチェンジの後、下値を試す時にポジションの一部を指値でエントリー。ストップは広めに。
      次に、アキュムレーションレンジのブレークアウトが起きるときに成り行きで乗せる。

      そのような方法もありです。

    3. サンチャゴ より:

      >自分が重要と思えるレベルで、予測してきた通りのローソク足パターンが出たら、コンファームされたエントリーとして納得し、速やかに実行する

      その方針で間違いありません。

      具体的に勝率と損益レシオがどれぐらいなのか、記録分析する必要があります。

      その際、エントリーポイント(位置)別、エントリーシグナル別に統計を取ってください。
      攻めのトレード日誌を使えば簡単です。

      デイトレードなら、1カ月~2カ月の記録があれば、ある程度信頼できるデータが集まります。

      分析の結果、特に成績の悪いセットアップを排除していくことで、少しずつ良くなっていきます。

  5. シシメル より:

    サンチャゴ様、
    迅速且つ的確なご回答、何時も本当にありがとうございます。ご指示通りトライさせてください、やってみます! 冷静な判断が出来てなかった様な気がします。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

  6. はへほ より:

    >試しとは、試し玉ということではなく、試しの値動きに需要/供給(出来高)が伴わなければエントリーということです。
    例えば、サポートライン付近で振るい落としの動きが起きた後、再度その価格帯を試しに来た時、最初の振るい落としよりも出来高が圧倒的に小さくなっているような状況です。

    これがよく理解できません。
    試しの動きが弱いなら、その逆の方向にエントリーする、ということかな、と思いますが。
    例にある、「再度その価格帯を試しに来た時」これはどちらの方向のことですか。
    ・・・例えば、下げトレンドの場合、サポートラインを割り込んで下げた。
    そのあとに上げた。この動きが「試す動き」ですか。
    「サポートを試す」という意味でしょうか。
    これの動きがサポートラインを割ったときに比べてー出来高少なく弱い」なら戻しきれないはずだから、ライン付近で売りエントリーする。
    この理解で良いのでしょうか。

    1. サンチャゴ より:

      ご質問ありがとうございます。

      はへほ様の思っている通りでございます。

      一旦安値を付け、その価格を試しに下げてきたとき、その下落の値動きに出来高が小さくなっている場合には買いエントリーで勝ちやすいということです。

      別の言い方をすると、出来高を伴った下落がある間は、もうひと下げする可能性が高いですよ。だから、出来高が細るまで待ちましょうということです。

      1. はへほ より:

        ありがとうございました。
        サンチャゴさんの教えてくださっていることは、論理明快で、
        文面では問題なく納得しているのですが、具体的事例にあてはめる感性が伴っていないので
        よーーーーく考えないと咀嚼できない段階です。(^^ゞ
        これが、いちいち確かめるまでもない段階になったらどんだけすごいか、と。

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