スイングの分析1 基礎編

本編

補足説明

スイングとは?

相場の値動きは一直線には進みません。ジグザグに進みます。
そのジグザグの上げ下げのことをスイングという。

ジグザグの上げの波のことをアップスイング、
ジグザグの下げの波のことをダウンスイングといいます。

スイングはトレンドとは違います。
ほとんどの場合、上昇トレンドはアップスイングとダウンスイングの両方から構成されます。

また、ダウントレンドもアップスイングとダウンスイングの両方から構成されます。

このスイングというのはとても重要です。

なぜ重要か?

・スイングの強弱を使って値動きの強さを読み取り、その先の値動きの方向性を予測してエントリーの根拠に使える

・スイングの転換部分でエントリーするという意味で、エントリーシグナルにもなる

この2つの使い方ができるので、スイングについて理解することはとても重要です。

これから2つの記事に分けてスイングについて詳しく解説していきます。

スイングの分析1 基礎編では
事後的にスイングを読み取り、その強弱を分析することで近未来の値動きの方向性やキャラクターを予測する方法を解説します。

出来高分析編では、スイングの分析と出来高分析を融合する方法を解説します。出来高分析についても学ぶことができます。

スイングリバーサル編では、リアルタイムに展開している値動きを追跡し、スイングがアップスイングからダウンスイング、もしくはダウンスイングからアップスイングへと転換したと言える瞬間を見分ける方法を解説します。エントリーやストップ注文の置き方が上達します。

スイングを読む

スイングはどのように認識すればよいのでしょうか。

裁量トレーダーにとって一般的な方法は、チャートをパッと見てこれがアップスイング、これがダウンスイングと勝手に決めることです。

私はその方法でスイングを認識しています。

慣れていない方はZigZagインジケーターなどを使ってもよいでしょう。

TrasingViewやMT4には無料で使えるZigZagインジケーターがあります。

これらのインジケーターは、スイングの切れ目を独自のアルゴリズムで判断してジグザグのラインを引いてくれます。

どのようなアルゴリズム(ルール)でスイングのリバーサルを判断しているのか、私は詳しく知りませんが、一つだけ言えることは、インジケーターのパラメーターをいじって感度を高くするとジグザグが細かくなりすぎ、一方感度を鈍くすると、スイング転換をかなり遅れて判断するようになるということです。

自分にとって丁度良いと思える値にパラメーターを設定するようにしましょう。

強さの分析

スイングの強弱を分析するには、その要素を知る必要があります。

スイングの要素には以下のようなものがあります。

・値幅
・傾き
・エクステンションの伸び
・出来高分析

スイングにおける上記のような要素を見ることで強弱を分析します。

あるスイングの強弱を分析するには、比較する対象が必要です。

なにと比較すればよいでしょうか。

少し前のスイングと比較します。

・直近の同じ方向のスイング
・直近の逆行するスイング

今がアップスイングなら、そのアップスイングが始まる前のダウンスイング、そして一つ前のアップスイングと比較します。

あとは、「一つ前」とは限らず、少し前のスイング全般を見て、全体的な視野で見れるともっといいです。

最初のうちは「一つ前のスイング」に集中すると簡単にできると思います。

エクステンションの伸びについて

エクステンションの伸びとは、上昇スイングなら、直近の高値に対してブレークアウトがどれだけ伸びたか、のことです。

その伸び幅を前の伸び幅と比較することで今のスイングの強さ/弱さを分析します。

上方向への伸びが徐々に弱まってきているようだと、いずれ大きなダウンスイングが出るのではないか、ということが予測できます。

エクステンションの伸びが弱まってくると、それはトレンドが弱まってきている兆候のひとつとなります。

多くの場合、それだけを根拠に売ることはできませんが、根拠にはなるのです。

たとえば、それが複数のレジスタンスラインが重複する価格で起きたなら
そこはショートエントリーする価値があるかもしれません。

売りのシーケンスというのがあります。

1.エクステンションの伸びが弱まる       上げ方向に弱さの兆候
2.値幅と出来高の両方を伴う下げの波が出る   下げ方向に強さの兆候
3.そこからの戻りに値幅と出来高が伴わない   上げ方向に弱さの兆候

これらの3つのシーケンスがレジスタンスライン付近で出たところでエントリーするのは非常に優位性があります。

補足説明

海女さん理論

海に潜って貝を採る海女さんを例に挙げてイメージしてみましょう。
上昇トレンドに逆張りするのに役立つ考え方です。

下げのスイングは潜って貝を採っているところです
上げのスイングは空気を吸いに海面に上がってくるところです

潜る深さが普段よりも深くなり、そのあと海面になかなか上がってこれなかったらどうなるでしょうか?

ちょっとやばいな
ということになりますよね。

悲しい話になってしまいますので
現実の世界ではけっして起きてほしくないですが
溺れてしまって
深い深い海の底に沈んでしまいそうです。

上昇トレンドに逆張りする際には
このような状況が起きるまで待って逆張りする必要があるということを
覚えておいてください。

ローソク足単位のエクステンションの弱まり

エクステンションの弱まりとは
スイングハイを抜けた後の値幅の伸びが弱まってくる現象でした。

エクステンションの弱まりは、波単位だけではなく、ローソク足単位でも起こります。

それはどういうことかというと….

・連続するローソク足の上方向への伸びが小さくなる
・ローソク足の形において、上髭が多くなる 連続して上ひげになる

というようなことです。

これをどう使うかというと…
スイング分析を行い、スイング単位のエクステンションの弱まりを認識します。

そして、水平線やトレンドチャネルなどのレジスタンスラインでローソク足単位のエクステンションの弱まりが見られたらどうでしょうか。

それは複数の時間軸で同時にエクステンションの弱まりが見られたということになります。
弱さのコンフルエンスです。

コンフルエンスとは重複が起きたという意味です。

色んな事の重複、つまり…

高精度な水平線にあたっている
キャラチェンジの存在
スイング単位のエクステンション弱まり
ローソク足単位のエクステンション弱まり

こういったことの重複が起きたら、思い切ってエントリーすることに優位性があります。

勝率が80%とか90%でリスクレワード比3:1を安定して実現とかっていうのはちょっと難しいですが、勝率60%ぐらいでリスクレワード比2:1とか3:1ということであれば可能です。

SNSでもご購読できます。

コメント

  1. シシメル より:

    お世話になっております。

    海女さん理論、確かにエントリーした後は息を止めてる感覚がありますので面白く、納得です!
    ところで、Zig Zag をIndicator から選んできて表示しようとしても(実際に表示している事になっているのに)チャート上で表示されないのはどうしてなのでしょうか、、、謎です。パラメーターの問題なのでしょうか?もし分かればご教示頂ければ幸いです。
    いつもありがとうございます。

    1. チームサンチャゴ より:

      ZigZagが表示されないとのことですね。
      例えば、
      「スタイル」タブの設定で色を透明にしているなどないでしょうか。

      「スタイル」タブ 「スケール」の設定を「左スケール」にしていると表示されないようです。今いろいろやってみて気付きました。

      上記2点で解決しますでしょうか。

      1. シシメル より:

        ご返信恐縮です、有難うございます。
        再確認させて頂きましたところ、
        「スタイル」タブの設定でラインの色は、緑になっていて、
        「スタイル」タブの設定でスケールは「右スケール」になっていました。
        しかし、どういう訳か表示されません。。不思議です。
        クリック証券のプラチナチャートのZigZag で代用確認させていただいておりますので当面は大丈夫です。
        もしも、さらに何か原因がお分かりになるようでしたらお手隙の時にでもご教示頂ければ幸いです!
        今後ともどうぞよろしくお願い致します、ありがとうございます。

  2. 勝巳 山崎 より:

    数多くの トレードツール又は理論解説を 見聞きしてきましたが 今回の サンチジャゴVCA1.0の 講義内容が 一番「血肉」に なってます!

  3. シシメル より:

    お世話になっております、何時もありがとうございます。
    再度拝聴させていただいたところ、1点だけ疑問点が湧いてまいりました。講義の中で12分30秒近辺から上昇時のエクステンションの伸びを比較している部分に関しまして、ダブルボトムの真ん中の低くなっているピークを無視するのは何故でしょうか? 18分30秒近辺からダウンスイングに関するエクステンションの伸びを比較している部分では、すべての下サイドのピークをカウントしてエクステンションの伸びを比較しているので、エクステンションの伸びの測り方に若干疑問が生じてしまいました。n
    お手すきの時で結構ですので、今回の講義に関して上昇時と下降時のエクステンションの測り方が何故異なるのか、ご教示いただければ幸いです。

    1. チームサンチャゴ より:

      http://real-trader.net/team-santiago/wp-content/uploads/2016/05/2016-05-26_19h38_21.jpg

      エクステンションの伸びとは、スイングハイやスイングローをブレークアウトしてからどれだけ伸びるかを測定するものです。
      この場合は直近のスイングハイを抜けていないのでカウントしていませんでした。

      もちろん、マイナスのエクステンションとしてカウントする方法でもありかもしれません。私はブレークアウトした分のみをカウントしています。

      1. シシメル より:

        平素より大変お世話になっております。
        ご多忙の中わざわざご返信頂きまして恐縮です、今気づきました。
        ご教示下さいましてクリアになりました。

        今後ともどうぞ宜しくお願い致します、
        有難う御座いました。

  4. Peso より:

    サンチャゴさん

    ローソク単位のイクステンションについてですが、スイングが向きを変える点、SH,SL,では、値動きが減速するわけですから、必ず、ローソク単位でのイクステンションンが伴うと思われるのですが、スイングのイクステンションと、その終点付近でローソク足単位でのイクステンションンが、同時に起きない場合というのはあるのでしょうか?宜しくお願いします。

    1. チームサンチャゴ より:

      はい、スイング単位のエクステンションは伸びていて、ローソク足単位のエクステンションが小さくなる場合は特に魅力はありません。
      スイング単位のエクステンションが小さくなっている場合は、同義に起きない場合は無いといっても良いですね。
      ただ、ローソク足単位のエクステンションの収縮が明確か明確でないかの違いはあります。

      1. Peso より:

        ありがとうございます。
        スイングのエクステンションの弱まりといいながら、頭の中では、一対のスイングでの、ローソク足を比較していました。的外れな質問でした、すみません。

  5. Peso より:

    サンチャゴさん

    二点お尋ねします。
    1)リアルタイムで、どうやってスイングの完成を判断するか。
    このスイングの分析は、使用している時間足で、スイングが完成していることを前提としていると思うのですが、実際、例えば下げのスイングで戻しが入った場合、なかなか大きいと思って、アップスイングになったと判断して行動したものの、すぐ後に、更に強い下げが入り、後で見ると、スイングの大きさに比べて小さな戻しの入った大きな下げであり、負けトレードになる、というケースがあります。これは、いつスイングが完成するかわからない、という不確定性そのものなのですが、何か、その読みの助けになるようなヒントはあるのでしょうか?後出のスイングリバーサルは、SHとSLを結ぶというスイングの転換には、遅れがかなり大きいような気がします。或は、このスイング完成の読みの成功不成功も、確率ゲームとしての不可避な点であり、多くのトレード全体として益が出る目論見ということなのでしょうか?

    2)ビデオの中のローソク足のキャラチェンジであるかの判断
    17:55あたりに、比較的大きな戻しがあります。このビデオを見ていた時、これはキャラチェンジと思ったのですが、その言及もなく、実際、その後、下げて行きました。
    実際トレードをしていて、キャラチェンジと判断して、レンジ相場に備えても、その後、ローソク足、2,3本がその付近で出ただけで、その後、下げに行ってしまい、結果的に、下げトレンドの一局面に過ぎなかったということになり、ストップがつくという場面で出くわすことが多いです。キャラチェンジとして定義したレンジの下限を超えるローソク足の出来高と結果の分析を行い、両者を伴った場合、極端に短いレンジだったと解釈するか、勢いが強かったからキャラチェンジが圧倒された、と解釈すべきなのでしょうか?どのように考えるのが、より勝つ確率が高くなるのか、教えていただければ大変助かります。或は、キャラチェンジと判断して勝つのも負けるのも確率ゲームの一部ということでしょうか?
    あと、19:08の戻しも、見ていてキャラチェンジと思ったのですが、その後、レンジ、キャラチェンジの言及もありましたが、この戻しが出た時点では、そう判断するのは尚早なのでしょうか?
    宜しくお願いします。

    1. チームサンチャゴ より:

      1)スイングの転換に関して、リアルタイムに確実に見分ける方法は存在しません。それができるなら、それだけで相場のすべてのお金を独り占めできます。

      スイング分析に関しては、すでに終了した過去のスイングに関して分析していくので簡単です。

      リアルタイムのスイング分析に関しては、スイングリバーサルで分析するのが一番早く感知できる方法の一つではないかと思っています。

      おっしゃる通り、トレードをするなら、そういった不確実性と仲良くなる必要があります。

      2)17:55辺りのアップスイングですが、この場合の見方では、キャラチェンジではありません。もっと小さなスケールで見ているとキャラチェンジと考えてもいいです。

      これはディストリビューションから本格的に下にブレークアウトした後の最初の戻しとなりますので、このアップスイング(など)がベンチマークとなり、そのあとのキャラチェンジの判断に使います。

      もちろん、キャラチェンジだと思ってもそのままトレンドがあっさりと継続することもあります。

      相場とは不確実な要素のかたまりなので、どんなことでも起きます。ですから常に確率論で考えて行動する必要があります。

      それまでとは違うレベルの押しや戻しが入った後は、そのままトレンドが継続するイメージでトレンド戦略を使うよりも、レンジ戦略でトレードしたほうが上手くいきやすいということです。

      どちらかの判断が常に勝てるわけではありません。勝率でいうと6割~7割になれば大成功というイメージです。

      19:08の戻し(このチャート上の最後の戻しでしょうか)をキャラチェンジとみなすのは正しい考え方だと思います。スイングの値幅も大きいですし、ローソク足単位の値幅も大きなものが出ていますから。

      >或は、キャラチェンジと判断して勝つのも負けるのも確率ゲームの一部ということでしょうか?
      その通りです。トレードは、どんな手法でトレードしようとも、確率のゲームです。

      とてつもない資金を動かす伝説の大口トレーダーでも、同じように勝ったり負けたりの確率のゲームをプレーしています。

      常に勝てる確実な手法を探そうとした時点で地獄の始まりです。くれぐれもそのような期待をしないように気を付けてください。

      手法を学ぶ際の注意点

  6. micky より:

    サンチャゴ様

    8/19 ポンド円は日足でキャラチェンジでしょうか?

    また、特典の続きは現状の所、未定になりますでしょうか?

    月に一度でも良いので、現在の相場解説があると、VCAの理解がより深まるのですが。。

    1. チームサンチャゴ より:

      8月19日は日足レベルで特にキャラチェンジは見られませんでした。
      7月15日のSHへの上昇がキャラチェンジであり、その後の下値を試している段階だと思っています。

      追加コンテンツにつきまして、現在レンジ分析の追加コンテンツを作成中です。アップする日はまだ決まっていません。トレードの合間に作っていますので、時間がかかっています。プラスアルファーの追加コンテンツということで、ご了承ください。

      相場解説についてのご提案をいただき、ありがとうございます。前向きに検討したいと思います。

  7. bep より:

    スイングの比較についてとても良く理解できました。
    ありがとうございます。

  8. asahi1 より:

    いつもわかりやすい動画をご提供頂いてありがとうございます。

    早速で、基本的な質問で恐縮ですが、質問させて頂ければ幸いに存じます。

    動画の17分50秒付近で、165円から175.5円くらいのアップスイングについてです。
    その前のダウンスイング内にはなかった強い上昇というというとらえ方しか目に
    つかず、どうしてもキャラチェンジからレンジ相場にいきそうにしか見えません。
    動画ではさらに下降するのが、当然のようにお教え頂いていますが、下方向に
    いくと考えるのが普通という感覚はどのようにして身につけていったらいいでしょうか?

    1. サンチャゴ より:

      返信が遅れてしまい、すみません。
      ご質問の件、解説いたします。

      このチャートの青い水平ラインから上の値動きなんですが、上昇トレンドのようで、実はほぼほぼレンジなんですよ。
      右肩上がりのレンジとでも言いましょうか。ブレークアウトで買った人はほとんど利食い出来てない感じの値動きですね。

      そのレンジから下に強い下落でブレークダウンしてきて、そこから最初の戻しになります。

      ここからレンジになってから下落すると予測するのも良いと思いますし、下落が強ければ、素直に下げていくだろうと予測するのもありです。
      僕の場合は、この場合は後者だったということです。

      どちらにしても、ブレークダウンからの強い下落ですから、売りを狙うことには変わりはありません。

asahi1 へ返信する コメントをキャンセル

*