相場とは?そして値動きが出る理由

相場とは何なのでしょうか。

チャートやテクニカル指標ばかり見ていると、相場とは何なのか?とうのがよくわからなくなってきます。

株、為替、先物、野菜、魚…
いろんなタイプの相場がありますが、相場とは何で、その目的は何でしょうか。

相場の目的

相場とは、商品やサービスなど何らかの価値を持った商品が取引きされる仕組みのことです。

それは場所である場合もありますし、バーチャルなインターネット上のシステムであることもあります。

魚市場や野菜の市場には実際人同士が直接売買する場所があります。そこで売った買ったのやり取りが実際に行われています。

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株の場合は実際に人同士が顔を合わせて売買をするのではなく、ネット回線を使った証券取引所のシステムを通じて取引を行います。同じ場所に実際に集まって取引するわけではありませんが、株の場合はインターネット上の特定の場所ですべての取引が取りまとめられています。

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FXの場合には、世界中の銀行などで同時進行で取引が行われているので、実際の場所もなければ、インターネット上の一つの場所ですべての取引が取りまとめられるわけではありません。インターネット上のいろんな場所で同時進行に世界中で取引が行われています。

為替市場

いろんな形の相場がありますが、相場のたった一つの目的は買い手と売り手を出会わせて、なるべく多くの取引を成立させることです。

取引が成立することにより、相場(マーケット)は手数料や場所代などを稼ぎます。ですから、取引所やFXの仕組みは、なるべく多くの取引が行われるように取引のシステムを改善していっています。

ここ10年ぐらいの間には、証券取引所はアルゴ、とくにHFTのによる取引をたくさん誘い込むために高速の取引ができるシステムを導入したり、呼び値の刻みを小さくしたりしています。

レンジを作ることが相場の目的

なるべくたくさんの取引を成立させることが相場の目的だといいました。

たくさんの取引が成立するとはどういうことでしょう?

買い手と売り手が同意するということです。

この値段なら買ってもいい
この値段なら売ってもいい

そのように買い手と売り手が同意したら、同じような価格帯で売りたい人と買いたい人が拮抗しますから、同じような価格帯で値動きが行ったり来たりしはじめ、そこでたくさんの取引が成立します。

そしてチャートの見た目としては、レンジ相場になります。
価格帯別出来高をみるとレンジ相場ではたくさんの出来高が累積しているのが分かります。

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この5分足チャートは全体的には上昇トレンドですが、赤丸で囲ったようなレンジ状態が起きる価格帯を探すために値が動いているといえます。

一般的には、勢いよく値動きが出ている状態が「良い」状態と言われます。
しかし勢い良く一方向に値が動いている状態は、レンジができる価格帯を探し求めてさまよっている状態で、相場の目的からは良い状態とは言えないのかもしれません。

レンジについて詳しくなれば、どちらの状態も取ることができます。

相場の仕組み

相場はどのような仕組みになっているのでしょうか。
相場というのは、要するにオークションです。

ヤフオク

たとえば、絵画のオークションを考えてみましょう。

オークションの目的は、売り手と買い手を出合わせ、最も高く買える人と売り手を出会わせることです。

誰よりも高い価格で入札すれば、その商品を落札することができます。

このようなオークションは一方通行のオークションです。それ以上の価格を提示する人がいなくなるまで入札金額が上がっていきます。売買が成立するまでは下がらず、一方通行で上がります。

そしてそれ以上の価格で入札する人がいなくなれば売買が成立し、落札となります。

我々が日々トレードする株式市場や為替の相場も、基本的には同じオークションなのですが、違う点があります。

それは、取引の対象となる商品(株や通貨や先物)には、同じものがたくさんあることです。そして同じ名前の物であれば、同じ価値を持っています。

たとえば、ソフトバンクの株式100株であれば、どの100株も同じ価値を持っています。

通貨でも、先物でも、同じ種類のものが同じ数量あれば、同じ価値を持っています。

株や先物やFXの相場は、一方通行ではなく、双方向のオークションです。
上がりもするし、下がりもします。

それは、売り手がたくさんいて、そして買い手もたくさんいるからです。

売り手が一人、買い手がたくさんいる絵画などのオークションとはそこが違います。

値動きが出る理由

株も先物もFXも値段が上がったり下がったりします。

相場の両方向オークションは、どのようにして上下に動くのでしょうか。

それは需要と供給に勢いの差が発生するからです。

需要と供給という言葉を使いましたが、

需要は買い手のことです。
供給は売り手のことです。

需要が多い = 買い手が多い
供給が多い = 売り手が多い

相場において値動きが発生する原理を考えてみましょう。

たとえば、ちょっと前に490円という値段をつけたなんらかの金融商品があったとします。

その金融商品の市場では、500円じゃないと売らないという人が1000人、と480円じゃないと買わないという人が1000人たとします。

そのままだと買い手と売り手の提示する価格が折り合わないので取引は成立しません。

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では、500円じゃないと売らないという人の数は1000人で先ほどと同じまま、一方で480円じゃないと買わないという人の数が3000人に増えたらどうでしょうか。

 

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買い手が3000人に増えたので、需要が増えたわけですが、これで価格が上がるでしょうか。

それだけでは価格は上がりません。
「今の価格よりも低い価格なら買う」という人の数が増えただけでは、取引は成立しないからです。

この状態だと、500円じゃないと売らないという人1000人
そして480円じゃないと買わないという3000人がにらみ合っているだけです。

こういう相場参加者を
消極的な買い手
消極的な売り手
といいます。

この状態で、「500円でもいいよ。買うよ」という人が1人でも現れたら、500円で取引が成立し、490円から500円に価格が上がります。

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ここで500円で買った人をアグレッシブな買い手といいます。

アグレッシブな買い手がたくさんいて、500円で売りたいという1000人分の売り注文を全部買いきれば、さらに価格が上がっていきます。

逆に、「480円でも売ってやる」という積極的な売り手がいきなり大量に現れたら、480円で買いたい人の買い注文が全部消化され、価格が下がるかもしれません。

何が言いたいかというと…

価格が上がるには、「今よりも安ければ買いたい」という消極的な買い手がたくさんいるだけでは不十分で、「今よりも高い値段でも積極的に買いたい」というアグレッシブな買い手の存在が必要だということです。

それと同じことで、今よりも価格が下がるには、「今よりも安い値段でも売りたい」というアグレッシブな売り手がたくさんいる必要があります。

ということで、
需要(買い)が多いから上がるというのは、正確に言うと、アグレッシブな需要(買い)が多いから上がるということです。
供給が多いから下がるというのは、アグレッシブな供給(売り)が多いから下がるということです。

とはいえ、消極的な売り手や消極的な買い手も重要です。

いくら「500円でも買う」というアグレッシブな買い手がたくさん現れても、500円なら売ってやるという消極的な売り手があまりにたくさんいたら、500円を突破することができず、アグレッシブな買い手がそのうちに息切れし、下がってしまうかもしれません。

大口トレーダーは買占めをしている段階では「消極的な買い手」として買いポジションを作り、買占めが終わったあと、つり上げを行う時にはアグレッシブな買い手になるのだと私は理解しています。

FXの方は、「FXには板情報がないからこんな解説意味ないだろ!」と思うかもしれません。

しかしFXでも本質は同じことです。我々一般トレーダーには見えないインターバンク市場では同じようなことが起きているはずです。

相場の正体が単なるチャートだと思わず、このように人間同士が売った買ったをやっている双方向オークションだということを理解しておきましょう。

このページのまとめ

・相場とは双方向のオークションである
・値動きが発生するためには必ずアグレッシブな参加者が必要
・消極的な参加者も重要な役割を果たしている

ということをここでは理解しておいてください。

次の動画からは「バリュー」について解説していきます。

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コメント

  1. HANABI より:

    よろしくお願いします。次の記事に行くには、一度もくじに戻ってからでよろしいでしょうか?

    1. チームサンチャゴ より:

      目次に戻ってから次に読む記事を選んで読み進めていただくイメージでした。操作的には面倒ですね。サイドバーに目次を入れてもらうようWEB担当者に依頼しようと思います。

  2. Hirokazu Yamamoto より:

    基本的に同じ手法なのでこの先読み進めるのが楽しみです。

  3. yoshiaki yamada より:

    現状では、記事内容について特に理解するうえで問題なしです。

  4. 達生 奥住 より:

    頑張ります。よろしくお願いいたします。

  5. hiroaki hara より:

    非常に面白いです。もっともっと、何度も読み返して糧にしていきます。

  6. hiroaki hara より:

    一章読むたびにとても興味ぶかいです。サンチャゴさんありがとうございます。。

  7. hiroaki hara より:

    トレーディングビューと格闘中です。結構自分の思うように操作するの大変かな

  8. 哲 佐藤 より:

    トレーディングビューの取り扱い方については 読み進んでいくと出てきますでしょうか?

    1. サンチャゴ より:

      トレーディングビューの基本的な使い方に関しましては、こちらで解説しております。
      http://sokusenryoku-fx.com/fx-chart/tradingview-master/

  9. bep より:

    日本株をトレードしています。トレーディングビューを契約しましたが、ストップ高等の日は表示されないようです。また、株式分割などにおける株価水準の訂正がなされていないようです。これらは、致命的欠陥ではと思うのですが。

    1. サンチャゴ より:

      デイトレやスキャルの短期トレードだと問題ないですが、長期トレードになると、致命的になりえますね。
      サポートに機能改善の依頼を入れました。
      出来れば、このコメントをご覧になった他のユーザー様も、トレーディングビューのサポートに機能改善の依頼を入れてください。
      要望が多ければ、それだけ早く改善してくれる可能性が高くなります。

      1. Akira より:

        私はトレーディングビューを契約していましたが、
        NYタイムで動きが激しくなるとレートが飛ぶ、止まるが連発するので解約いたしました。
        皆さん起きておりませんか?

      2. bep より:

        気づくのが遅れすみません。
        ていねいなご回答をありがとうございました。

  10. h.f.karasu より:

    仕組みを、分かりやすく理解できました。ありがとうございました。

    大口さんが一方向に動いていれば分かりやすのですが、おそらく何人かいてそれぞれが違う動きの時が、どっちについてくべきなのか迷います。今は、分からないのでスルーすることにしてますが、、、、

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